13、人間関係とストレス

   
精神状態と健康が深く関わっているのなら、自分の心をコントロールする
   必要があります。

    カウンセリングを行うとき、「過去と他人は変えられないが、未来と自分は
   変えられる」という表現を使うことがあります。しかし、自分が変われば、過
   去も他人も変わってくる」とも言えます。

    人と人との心の触れ合いを心理学では「ストローク」といいます。一番簡単
   なストロークは「こんにちは」という挨拶ですが、見知らぬ人に「こんにちは」
   と言うのはなかなか大変なことです。

    さて、最も基本的な人間関係は「私」と「あなた」ですが、これをさらに四種
   類に分けてみます。

    @私も、あなたもOK
    A私はOK,でもあなたはダメ
    BあなたはOK,でも私はダメ
    C私も、あなたもダメ        

    21世紀は競争の時代ではなく協調、共生の時代と言われます。「私も、あ
   なたもOK]と思える人間関係が基本ですし、健康にも良いようです。

    「私はOK,でもあなたはダメ」、人間、時には優越感を持ちたくなるものです
   が、こればかりでは人間関係は成り立ちません。

    また、「私がダメ」な時に「うまくいっている人がダメになれば良い」と望むよ
   うな邪悪な心も私たちは持っています。つまり、「私も、あなたもダメ」の世界
   です。

    しかし、私は「自分のことより、まず相手のことを考えなさい。」という意見も、
   「どうかな?」と思います。

    私はまず「私はOK]の状態にならなければいけないと思います。というのも、
   自分がダメな時には相手のことを考える余裕がなく、相手を援助するのは難
   しいと思います。

    まず、自分が良い状態になるからこそ、他の人に目を向ける心の余裕が生
   まれるのではないでしょうか。

    少林寺拳法の開祖、宗道臣先生は「半ばは自分の幸せを、半ばは他人の
   幸福を考えよ」と教えておられます。共に良い状態を目指したいものです。

    自分の体調が優れず、自分より健康そうな患者さんが来ると、顔には出し
   ませんが、「あなたはOK,でも私はダメ」の状態になってしまい、これでは良い
   治療はできません。健康管理はしっかりしないと。

    また、この「あなたはOK,でも私はダメ」は「謙遜」であり、日本人独特の感情
   表現とも言われます。

    「つまらないものですが、どうぞ。と言ってプレゼントを渡すが、どうしてつま
   らないものを人に渡すのか。」とある外国の知人に聞かれたことがあります。
   
    「このプレゼントは良いものです。しかし、あなたの素晴らしさと比べれば、
   どのように良いものも見劣りしてしまいます。ですから、このようなつまらない
   ものでも受け取っていただけませんか。」これを短くしたのが「つまらないもの
   ですが」なんだよ、と説明したら「そうだったのか・・・。」と分かったような分か
   らないような顔をして、唸っていました。

    日本に住んでいる日本人でさえ(私も含めて)理解が困難な、かつての日本
   人の奥ゆかしさ、謙虚さ、日本語のデリケートさを外国人が誤解しても仕方が
   無いかもしれませんね。

    「私も、あなたもOK」。この人間関係を築きたいものです。