8、ルルド現象

  
 「条件付けは免疫にも及ぶ」ということが分かりましたが、この章では、「病は
   気から」の実例をいくつか紹介します。

    まず、フランスのルルドの泉での奇跡治療を紹介します。

    皆さんはルルドの泉をご存知ですか。1858年、ある農家の娘が岩谷で美しい
   女性の幻覚を見て、そこに小さな泉が湧いていることを告げられます。その後、
   その幻覚に現れた女性は聖母マリアであることがわかりました。これが有名な
   フランスの「ルルドの泉」のいわれです。

    その後、そこはローマ・カトリックの聖地とされ、毎年二百万人を超える巡礼者
   が訪れますが、そのうち三万人は病人だそうです。いずれも、難病の患者で、最
   後の望みをかけてやってきます。そして、患者たちは冷たい泉に身を浸して祈願
   すると、治ってしまうというのです。

    これは「ルルド現象」と呼ばれ、これを研究している学者たちは旅の困難さと治
   癒率には相関関係がみられ、治癒を促した要因は巡礼者の情動的状態にあると
   いうのです。

    つまり、ルルドの泉の近所から苦労せず、特に期待もしないで来た人は泉に浸
   かっても治らず、はるか彼方から飛行機と車を乗り継いで何十時間もかけてやっ
   とたどり着き、「この泉に浸れば絶対治るのだ!」と執念を燃やして来る人は治る
   ということです。

    学者たちは巡礼の旅に出ようという決意そのものが患者の生命力を奮い立たせ、
   旅の準備と道程に気持ちが集中しているため、絶望感が払拭され、家族、友人、
   所属する教会の人たちの励ましがそれをさらに強めるといいます。

    治癒が起こるのは多くの場合、司祭たちの祭列が岩谷に入ろうとする瞬間で、宗
   教行事による感情の高まりがピークに達した時だといいます。