5、免疫の仕組み

   
今まで、漠然と「免疫」という言葉を使ってきましたが、ここで少し免疫の仕組みに
   ついてふれておきましょう。複雑な仕組みですが、ごく分かりやすく書いてみます。

    まず、免疫には3つのメカニズムがあります。

    1、
異物を認識する
    2、
異物を排除する
    3、
異物を記憶する

    ここでいう異物とは、「自分の体に本来ないもの」ということで、ウイルスなどとともに、
   他人から移植された臓器も含まれます。

    また、免疫を構成する細胞の一つT細胞(胸腺〜Thymus〜由来であることから命名)
   には、

    1、
ヘルパーT細胞
    2、
キラーT細胞
    3、
サプレッサーT細胞

    の3種類があります。免疫を説明するのに戦争を例にすると分かりやすいでしょう。

    ヘルパーT細胞はパトロール隊であり、常に敵の侵入がないか監視していて、敵を見つ
   けたら、命令を出す。この命令によって敵を倒すのがキラーT細胞です。敵を倒した後、
   撤収命令を出すのがサプレッサーT細胞です。

    例えば、風邪をひいて、まだ熱が高い時はキラーT細胞が働いており、熱が冷めるのは
   サプレッサーT細胞が働いた時です。

    免疫の働きの中で特に重要なのは、敵を記憶しておくという機能です。このため2度目に
   同じ敵が侵入した時、速やかに対処できるのです。ツベルクリン反応も結核菌が「敵」と記
   憶されているかどうか確認するために行っているのです。

    免疫には「
免疫トレランス(免疫寛容)」といって敵と同居するシステムも備えていますが、
   大したことのない敵だと思っていたのが、実は恐ろしい敵であることも考えられますから、な
   かなかうまく機能しないこともあります。

    「反応不良」も当然起こります。これには「敵が多すぎる場合」と「自分が弱い場合」の2つ
   の原因が考えられます。

    私は鍼灸師なので風邪を治療することは稀ですが、冬になると患者さんの中に風邪をひ
   いた状態で来院される方がやはり多く、そのため私も風邪をひいてしまうのが「敵が多すぎ
   る場合」です。「医者の不養生」で疲れているときに気を緩めて、うつってしまうのが「自分が
   弱い場合」です。
この「自分が弱い場合」に、弱くなる過程に精神的なことが関与するという
   のが今回の言わんとすることです。

    
「免疫の日内変動」、これも以前は全く注目されませんでしたが、現在は血圧や体温と同
   様にその存在が認められています。体温は朝よりも夕方高くなるのが一般的です。これが
   体温の日内変動です。免疫の日内変動としては、一般的に夜中の1時頃が最も弱く、朝の
   7時頃が最も強く、午後から夕方にかけてもう一度強くなると言われています。

    「早起きは三文の徳」といいますが、早寝早起きは免疫学的な観点からも正しい健康法な
   のです。