1、はじめに
鍼灸師として臨床に携わっていると、実に多岐にわたる愁訴をお持ちの方が
来院されます。様々な痛み、手足のしびれ、体が疲れやすい、不眠、等々。
そうした中で近年特に多いといえるのが、社会的、環境的(人間関係、仕事、
犯罪、屋内外の騒音など)ストレスに由来する不定愁訴です。
例えば、締め切り間近の仕事がいくつもあるのに、時間ばかりが過ぎて、全
然仕事が進まないなどという時に胃が痛くなります。逆に体調がさえないと気
持ちも沈んでくるという経験は多くの方がお持ちではないでしょうか。
心の問題が体に影響を与えている場合、鍼灸治療に加えて、カウンセリング、
バイオフィード・バック、音楽療法、芳香療法を併用すると効果的です。
心と体は切り離すことができません(心身一如)。また、臓器と臓器もそれぞ
れが勝手に機能しているわけではなく、それぞれが必要な機能を分担すること
によって、全体としての体を機能、維持しているのです。
東洋医学は3000年の昔からホリステイック(全体的)な視点で心身のひずみ
を癒してきました。
現代医学では多くの医師が心と体は無関係で、心の状態がどうであろうと、
病は薬を飲めば治ると考えていたとよく言われます(もちろん患者さんの心を
重視した治療をなさる医師もいらしゃいます)。
昨今、心療内科の重要性が認識されるようになり、現代医学においても患者
さんの体だけでなく心もケアする方向に向かっているようです(そうであるよう
願っています)。
今回、この小論文をまとめたのには2つの理由があります。
まず第1に、私は常日頃、健康管理にはいくつかのポイントがあると考えてい
ます。
その一つのポイントは、一般の方も「医学の基礎知識を身につけること」です。
基礎知識があれば予防医学にも役立ちますし、いざ病気になった時、どのよう
な医療機関を受診すれば良いのかを判断する助けになります。また、患者さん
の基礎知識がないと医療サイドの人間も説明しにくいものです。この小論がそ
の一助となれば幸いです。
第2に、精神神経免疫学と心理学の観点から心と病気の関係について説明し、
私の治療の理論的バック・ボーンとしたいということです。
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