5、肩のこりをほぐすためには強い力で押し
たほうが効果的か?
これは先日、自動車整備の仕事をなさっている方がいらしたときに
伺った話ですが、長時間、寒い仕事場で重いものを持ったり、ハンマー
で板金仕事をしたりして、体が冷え、とても疲れたのでサウナに行った
そうです。
サウナで温まり、その後、マッサージを受けたそうです。ところが、
痛いばかりで全然気持ちが良くない。
「痛いので、もっと軽くやって欲しい」と頼みましたが、「こりがひど
いから、強くもまないと、(こりが)とれませんよ」と言われ、その調
子で1時間もまれたそうです。
マッサージ直後は痛だるい感じだったのが、それから数時間して激痛
に変わり、痛みのために首や肩を動かせなくなったそうです。
当院にいらしたのはそれから3日後のことでした。
みなさんも似たような経験をお持ちかもしれません。
実はこっているからといって強い力でもんではいけないのです!
説明のためにごくシンプルなモデルを紹介します。
労働や運動で疲れ、こっているときというのは局所(例えば肩)に疲
労物質がたまっており、それが筋肉を強張らせます。
すると筋肉の中にある毛細血管が圧迫され、血行が悪くなります。血液
が酸素やエネルギー源を筋肉に運搬しますから、血行が悪くなると、局所
の筋肉に酸素やエネルギー源が十分供給されず、弱ってもろくなります。
その弱ってもろくなった筋肉を強い力でもめば筋肉の線維(筋肉は非常
に細い筋肉の線維が集まってできています)がやぶれて炎症を起こし激痛
が生じるのです。
硬いものは強いと思われがちですが、一概にそうとは言えません。例え
ば、台風のとき堅い木は折れることがありますが、細く柔軟な柳の枝は風
を受け流して折れません。
筋肉も健康で柔軟な筋肉であれば少々強い力で押されても壊れませんが、
硬く柔軟性に乏しい筋肉はもろく、壊れやすいのです。
ですから、筋肉が硬く強張っている時に治療を受けるのであれば、「も
う少し強く押してもらいたいな〜」というくらいの強さで刺激されたほう
が良いのです。
強く痛い押圧刺激(指圧など)は治療院のベッドで殴られているのと同
じだと考えてください。
そうかといって弱すぎても効果はありません。
弱すぎず、強すぎず患者さんの体格、年齢、職業、その時のコンディシ
ョンなどを考慮してそれぞれの方に最適の治療ができるかどうか、それが
治療者の腕の見せ所ということでしょう。
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